枠の内を再生した家(1)

概要

ギャラリー

移動編

	解体前の様子。 その規模もさることながら、屋根の端口をはじめ非常にシッカリした造りのお宅でした。 ただ、長年の風や地震の影響や地盤沈下による傾きが結構ありました。 今回は部分再生の家づくりです。
	屋根裏の小屋組み。 金物を使わずに丸太のみを組んだ構造です。当時の職人の技術に圧倒されました。なぜ我が国は世界的にも非常に優れた日本の伝統工法を軽視したのでしょうか?現在の建築基準法の考え方は残念で仕方ありません。。。
	枠の内移動。 このお宅では、広間(12.5帖)と茶の間(10帖)の2間を一度移動保管して再生します。 まずは切り離しから作業が始まりました。写真は切り離しが完了した所です
	奥が旧茶の間(10帖) 手前が旧広間(12.5帖) 2間を同時に吊り上げて移動します。非常に豪快な作業です。
	枠の内のあった場所は、家のほぼ中心。昔の家は枠の内を中心に各部屋を配置し、地震や風に耐える構造でした。金物至上主義の現在の耐震構造とは逆の考え方なのですが、先人達の知恵と技術の方が勝っていると思います。なぜなら伝統軸組工法は、この地震大国で千年以上の実績があるのですから!
	さぁいよいよ吊り上げです。6本の柱にワイヤーを掛け、長さを調整してバランスを取ってレッツゴー!
	浮き始めました。筋交いや根絡みでシッカリ補強はしてありますが、枠の内に異変が無いかチェックします。 レッカーの加重計は4.5t(車4台分)を表示していました。材料の大半がケヤキの為、相当な重さです。
	チェックも済んでいよいよ空の旅へ! ぶつけない様に慎重に浮上していきます。
	建物の中から無事出てきて一安心。でもまだまだ気を緩めることはできません。
	目的地へ近づきました。 もう後ひと踏ん張り!
	なんとか無事着地。無理が掛からない様にパッキンで高さを合わせます。この後は雨風がかからない様にシートで養生して基礎の完成を待ちます。 人と比べると大きさがよく分かりますね。

設置編

	基礎も完成して、いよいよ新天地へ御引越し。 今回も問題無く作業が終わりますように!
	大体の位置まで移動してきました。今回は障害になるものが無いのでスムースに到着。 これから基礎と緊結する作業に取り掛かります。
	今回は土台の上に乗せる構造としました。その為、柱にはホゾ付けをしなければなりません。若い大工さんも親方に指導されながら作業していました。なかなか経験できない仕事でやり甲斐がありました。
	う～ん、それにしても大きいですねぇ。 機械の力って偉大だ。そんな事を思いながら仕事してました。(笑)
	基礎はこんな感じです。ベタ基礎なのでシロアリは湿気の心配が減ります。土台には檜を使用しています。
	レッカーで釣りながらの作業です。 レッカー車よ、もうしばらく頑張ってくれ!
	柱のホゾ付けも終わり、いよいよ設置作業に移ります。
	腐れがあった柱は少し短くなったのでケヤキの盤を敷いて高さ調整します。
	この様に、パッキンになる盤にもホゾ付けがしてるのでズレたりしない様になっています。
	着地土台取り付けは同時進行しないと据付けできないので、非常にシビアな作業でした。
	いよいよ着地間近。位置がピッタリくるように慎重に降ろします。
	設置完了! この空間がどのように生まれ変わるか楽しみで仕方ありません。 僕の頭の中のイメージ通りになる様に頑張ります。乞うご期待!
	この枠の内を中心に各構造材を取り付けしていく為、この後は仕口加工を施さなければなりませんが、一先ず枠の内の移動は完了しました。職人の皆さんお疲れ様でした。